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【体験談】ボクは負け犬で、隣のタイ料理屋のオヤジは鬱だった

体験談
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『途中で店をたたむ選択肢はない』

隣のタイ料理屋のオヤジは、ボクの店の低い天井を眺めながら、そう答えた。

ボクは飲食店の撤退を決めて、店の引き渡しのために、店内を掃除している最中。

オープンした頃にはなかった無精ひげと、急激に増えた白髪がピンピンと跳ねているのを見て、

(帽子を被ったほうがいいのにな)

となんとなくボクは思った。


半年ほど前にオープンした隣のタイ料理店。

タイ人の奥さんと、タイ人のシェフを雇って、3人体制で本格的なタイ料理を提供する店でした。

人付き合いが得意そうではないオヤジが、『味見してみて』とよく差し入れてくれた試作。

ボクには少しナンプラーが強すぎたけど、レモングラスが効いていて美味しかったです。

食材のこだわりも感じて、

(原価もかかっていそうだなー)

と思いながらもいつも有難く頂いていました。

忙しい日々が続いて、プライベートでタイ料理を食べに行くこともなくなったボクに、オヤジの差し入れは、

(そういえば、ボクはタイ料理が結構好きだったなぁ)

なんてことをよく思い出させました。

オヤジには、まだ高校生になったばかりの息子さんがいて、『まだ稼がないといけない!』と口癖のように言っていましたね。

オヤジにとっては、一念発起の脱サラ起業

融資も受けてないって言っていたから、退職金をつぎ込んだのでしょう。

(稼がなきゃいけないのは、オレも同じだよ)そう思いながら、ボクらはたまに日常会話を話す仲でした。


ボクは店の片づけをほとんど終え、綺麗になった店内を見回して、

(次に居抜きで入るテナントはラッキーだなぁ)

と思いながら、オヤジに言った。

ボク:
『ボクは飲食店の競争に完敗した。あなたにアドバイスできるとしたら、しっかりと撤退基準を決めることです。もし赤字が続いているなら、すぐにでも店を閉めるべきですよ』

オヤジ:
『途中で店をたたむ選択肢はない。資金が底を付いたら廃業するだけさ』

オヤジの口調から、撤退基準は設定していないし、おそらくとっくに撤退基準を超えているな、とボクは思った。

それと同時に、撤退基準を設けろ!といって廃業していくボクを

「負け犬」

だと思っているんだろうな、とも。

(撤退基準を超え、ギリギリまで営業を続けたボクだからこそわかるんですよ)

そう心で呟きながら、『それもそうですね』とオヤジの目を見ずに答えた。

(ボクと同じように、オヤジは地獄までいこうとしているな。もう自分で幕を下ろせないほど追い詰められているし、赤字に慣れてしまい、赤字を赤字だと思わずに……ただ営業しているだけだ)


会社員と経営者の大きな違いは何だろう?と考えた時、赤字に対するリアクションに明確な差があります。

赤字を人に言えないんですよね!

そして、どんどん一人で

地獄に追い込まれていきます。


「なぁオヤジ……」

「眠れてる?」

「 動悸はしない?」

「 食欲はちゃんとありますか?」

「 死にたいなんて思ったりしてませんよね?」

「まだ高校性の息子がいるんだもんね?」

「顎関節症とかになる人だっているみたいですよ?」

「口を開けば愚痴ばかり。経営改善策は値引きばかり。もう正常な経営なんてできていない……。」

「目の焦点も合ってないし……病院に行ったほうがいいよ」

「間違いなくアンタはもう

鬱(うつ)

だよ!!」

ボクはたくさんの伝えたかったオヤジへの言葉を飲み込み、何も言わず、店の鍵を閉め、構想5年、営業わずか1年の飲食店経営を廃業した。

オヤジを一人、地獄に置いてきたかのような罪悪感を感じながら。


あれから少し時間が経ち、ボクもいわゆる負け犬から脱しようと次の挑戦を始めている。

新しい仲間と会社を立ち上げ、個人では飲食店経営の経験を役立たせる情報発信ができるメディアを作りたいと思っている。

『それは、君がまだ若いからだよ。60を超えた私にはできない』

そう、タイ料理屋のオヤジはよくボクに言ってきたと思う。

でも、それは本当に自分の考え方次第だ。

ボクの尊敬する人は、一度は難病に侵され、70歳を超えても、精力的に活動するご老体だ。

その人に言わせれば「 30~40代はよちよち歩き、50~60代はハナタレ小僧 」だそうだ(笑)

ボクもそうでありたい。

たとえ、鬱になろうとも、負け犬になろうとも、1日に2度膝から崩れ落ちる地獄を味わっても、何歳になろうとも、挑戦を続けていきたい。

実際に飲食店を開業するというのは、凄いことだ。

たとえ廃業したとしても、やりたくてもやらない人が世の中にはほとんどだ。

経験した上で、ボクは廃業をおすすめしているが、やったことがあるのとないのとでは大違いだ。

誰でもが地獄を経験できることではない。

だから、タイ料理屋のオヤジに言いたい。

今も頑張っているのなら、それでいい。

ただ廃業する時は、胸を張って欲しい。

そして、次の挑戦を始めるだけだ。

飲食店を経営したことがあるオヤジなら、きっとそれができるはずだ。

いつの日か、あの時のボクらは

負け犬

鬱(うつ)

でボロボロだった、と

笑える日が来るはずだ。

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