
税金の知識がないから、自分で確定申告なんてできない…

売上あがってないけど、確定申告だけは、プロにまかせようかな?
ちょっと待ってください!
法人の確定申告をプロに頼んだら安くても10万円以上、申告ソフトを買うとしたら20万円以上したりと、お金がかかります。
今回は、ひとり社長の小さな法人のために、初年度の確定申告を会計ソフト「freee」だけを使って、自分でやる方法を紹介します。
この通りにやってもらえれば、freeeの月額料1,980円だけで確定申告ができます。
freeeをまだ登録していない人は、無料体験もありますので、まずは登録して準備をしてください。
freeeは、会計ド素人のボクでも、感覚的に経理ができる会計ソフトで、このソフトよりも簡単な会計ソフトは、今のところありません。
1度でも法人の確定申告を自分でやってみると、経理や税金の仕組みがわかって、経営者としても成長できます。
難しく考えないで、まずは、必要書類から見ていきましょう。

法人の確定申告に必要な書類
法人の確定申告を自分でするのに、必要な書類を揃えます。
入手方法と書面の内容をざっくりと理解しましょう。
【freeeから入手する書類】
書類 | 内容 |
決算書 ・貸借対照表 ・損益計算書 ・販売費及び一般管理費の明細書 ・株主資本等変動計算書 ・個別注記表 | 会社の成績と現在の状況を示すもの |
【税務署から届く書類】
書類 | 内容 |
別表四 | 所得税の計算 |
別表一 | 法人税、地方法人税の計算 |
別表一次葉 | 法人税、地方法人税の計算 |
別表五(一) | 税金上の貸借対照表 |
別表五(二) | 税金の納付状況 |
適用額明細書 | 税法の適用 |
勘定科目の内訳書 | 勘定科目の詳細 |
法人事業概要説明書 | 事業内容の詳細 |
【都税事務所から届く書類】
書類 | 内容 |
第六号様式 | 都民税、事業税、地方法人特別税の計算 |
【市町村から届く書類】
(東京23区以外の法人のみ)
書類 | 内容 |
第二十号様式 | 市民税の計算 |
法人の確定申告は、決算日後の2ヵ月以内となります。
必要書類は、会社に郵送されますが、ホームページからもダウンロードできます。
確定申告の締め切り1ヵ月前になっても、届かなかったり、足りない書面があればサイトからダウンロードしてください。
まずは会計ソフト「freee」で、決算書の作成をしていきます。
freeeで決算書の作成
freeeにログインし、トップページから始めます。
①「決算」を選択
②「決算書の作成」を選択

①「freee形式」を選択
②「報告式(今期のみ)」を選択
③④⑤「freee形式」を選択
⑥「自由記述形式」を選択
⑦「個別注記表の編集」へ
⑧「例文をコピーする」を押し文章表示
⑨不要な文章は削除し日付などを整える
⑩「保存」を選択
⑪「決算書の出力設定を保存する」で保存


これで、税金を計算する前の決算書が完成しました。
売上が少なすぎて、とっても恥ずかしいですが、ボクのP/L、B/S、会社概要を公開して、説明していきますね。

【会社概要】
- 2019年7月31日設立
- 所在地は、東京都23区以外
- 資本金50万円
- 社長のみで従業員は0人
- 税引前当期純利益は6,094円
- 10万円以上のPCなどの資産もなし
- 初決算のため、消費税もなし

決算書の用意ができたので、申請書の記入に移りましょう。
別表四(1回目)
別表四で所得の計算をします。
②以降は、あとで書き直すので、最初は鉛筆で書いてください。
別表四以外は、ボールペン記入で大丈夫です。
①「令和1.7.31~1.12.31」「法人名」を記入
②P/Lの当期純利益「6,094」を記入
③④初年度は空欄(前期分を未払い計上している場合のみ)
⑤⑥上記の合計「6,094」を記入

これで、所得が出ましたので、つづいて法人税を計算していきます。
別表一/別表一次葉
法人税と地方法人税の計算をします。
「別表一」と「別表一次葉」を同時に作成していきます。
表の上部の赤枠は、会社情報、会計年度を記入してください。
法人税の計算
①「別表四」の所得「6,094」を記入
②6,094の1,000円未満を切り捨て、「次葉」に「6,000」を記入。800万円以下の所得の部分は15%がかかります。
③6,000円×15%で「900」を記入
④「別表一」に戻り、③の「900」を記入
⑤⑥⑦⑧100円未満切り捨てで④を転記(ここでは900のまま)
⑨ここから地方法人税の計算です。法人税「900」を記入
⑩「別表一」「次葉」の両方に、⑨の数字を1,000円未満切り捨てで記入(ここでは0)
⑪「別表一」「次葉」の両方に、⑩の数字に4.4%をかけた数字を記入(ここでは0)
⑫計算した⑪の数字を記入
⑬100円未満を切り捨てた⑫の数字を記入
⑭中間申告した地方法人税がなければ、⑬のまま記入


これで、法人税の計算は完成です。
つづいて、地方税の計算を見ていきましょう。
第六号様式
第六号様式で計算する税金は、「都民税(都道府県民税・市町村民税)」「事業税」「地方法人特別税」です。
都民税には、所得に応じて増減する法人税割と所得に関係なく計算される均等割から構成されます。
均等割は、従業員数50人以下、資本金1,000万円以下の場合は、年間7万円かかり、赤字でも払わなければいけません。
内訳は会社のある場所で下記のように分かれます。
会社の場所 | 法人税割 | 均等割 |
東京23区 | 12.9% | 東京都へ7万円 |
東京23区以外 | 東京都へ3.2% 市町村へ9.7% | 東京都へ2万円 市町村へ5万円 |
東京以外 | 道府県へ3.2%~ 市町村へ9.7%~ | 道府県へ2万円~ 市町村へ5万円~ |
それでは、記入を進めていきましょう。
①法人番号を記入
②法人名、所在地、代表名を記入
③事業名を記入(2つ以上の事業がある場合は、メイン事業を〇で囲む)
④⑤資本金を記入(ここでは500,000)
⑥事業年度を記入(ここでは令和1年7月31日‐令和1年12月31日)

①~⑥の記入が終わったら、AとBの2つに分けて記入していきます。
都民税の計算
都民税のAから記入していきますね。
【A】
①別表一の法人税額「900」を記入
②1,000円未満を切り捨てた①を記入(ここでは0)
③法人税割3.2%を②にかけた数字を記入(ここでは0)
※東京都23区に会社がある場合は12.9%
④⑤100円未満を切り捨てた③を記入(ここでは0)
⑥事務所設立が1年未満の場合は、月数を記入(ここでは5月)
※事務所を持っていたのが、20日間など1ヵ月に満たない場合は、切り上げて「1月」。6ヵ月と20日間などの場合は、切り捨てて「6月」
⑦均等割額の「20,000」を記入
※東京23区に会社がある場合は70,000円。それ以外は20,000円
⑧20,000×5月÷12の100円未満を切り捨てた「8,300」を記入
⑨法人割額③と均等割額⑧の合計を記入(ここでは8,300)

事業税、地方法人特別税の計算
【B】
①別表四で計算した所得(6,094)を記入
②1,000円未満を切り捨てた①を記入(ここでは6,000)
※400万円を超える場合は、それぞれの欄に記入
③事業税の計算です。税率3.4%を②にかけて、100円未満を切り捨てた数字を記入(ここでは200)
※所得が400万円以~800万円以下の税率は5.1%。800万円以上は税率6.7%。
④計算した③の数字を記入
⑤地方法人特別税の計算です。④に43.2%をかけて、100円未満を切り捨てた数字を記入(ここでは200円×43.2%=86.4のため「0」)

つづいて、市町村民税の計算をしていきます。
東京都23区に会社がある人は、第二十号様式は必要ありません。
第二十号様式
ボクの会社は、東京23区以外にありますので、市町村民税を第二十号様式を使って計算します。
市町村によって、書面の形式は少し違います。
市町村民税の計算
①法人名、所在地、代表者名を記入して押印
②法人番号と申告日を記入
③ 事業名と資本金を記入(2つ以上の事業がある場合は、メイン事業を〇で囲む。 ちなみにボクは広告代理店、資本金は50万円)
④事業年度を記入(ここでは「令和1.7.31-令和1.12.31」)
⑤「確定」と記入
⑥ 別表一の法人税額「900」を記入
⑦1,000円未満を切り捨てた⑥を記入(ここでは0)
⑧法人税割の市町村分9.7%を⑦にかけた数字を記入(ここでは0)
⑨100円未満を切り捨てた⑧を記入
⑩事務所設立が1年未満の場合は、月数(ここでは5月)と均等割額の市町村分「50,000円」を記入
※事務所を持っていたのが、20日間など1ヵ月に満たない場合は、切り上げて「1月」。6ヵ月と20日間などの場合は、切り捨てて「6月」
⑪50,000×5月÷12の100円未満を切り捨てた「20,800」を記入
⑫計算した⑪を転記
⑬法人割額⑨と均等割額⑫の合計を記入(ここでは20,800)
⑭法人名と住所を記入
⑮ 従業員数を記入(ここでは0)

以上で、税金の計算が終わりました。
つづいてfreeeに税金を登録して、決算書を完成させます。
freeeで、税金を入力
ここまで計算してきた税金の合計をfreeeに入力して決算書を完成させます。
freeeにログインして、取引画面にいってください。

決算書の完成
ここまで計算してきた税金をまとめましたので、確認して進んでください。
法人税…900円
地方法人税…0円
都道府県民…8,300円
市町村民税…20,800円
事業税…200円
地方法人特別税…0円
合計…30,200円
①「支出」を選択
②「未決済」を選択
③決算日を入力(ここでは12月31日)
④「法人税、住民税及び事業税」を選択
⑤税金の合計「30,200」を入力し登録します。

これで、税金の登録も終わり、確定申告で提出する決算書も完成しましたので、決算書の印刷をしてください。
ちなみに、ボクの会社の当期純利益は、税金の入力をしたら「6,094円」から「▲24,106」の赤字となりました。
当期純利益が確定したところで、別表四を完成させます。
別表四(2回目)
1回目に鉛筆で記入した数字を消し、ボールペンで別表四を完成させます。
①当期純利益「▲24,106」を記入
② 法人税、住民税及び事業税 「30,200」を記入
③初年度は空欄です(前期の事業税があった場合は記入)
④記入した①+②-③の数字を記入(ここでは「6,094」)
⑤計算した④の数字を転記

別表五(一)/(二)
(一) 税金上の貸借対照表
別表五(一)を用意して、上部に事業年度と法人名を記入してください。
今期が初年度ということで、前期に支払っている税金はないものとします。
①当期純利益「▲24,106」を記入
※「損は赤」とありますが「▲」や「-」で大丈夫です。
②税金の合計「30,200」を記入
③法人税「900」と地方法人税「0」の合計を記入
④都道府県民税「8,300」を記入
⑤市町村民税「20,800」を記入
⑥記入した①+②-③-④-⑤の「▲23,906」を記入
⑦資本金「500,000」を記入

(二) 税金の納付状況
別表五(二)を用意して、上部に事業年度と法人名を記入してください。
今期が初年度ということで、前期に支払っている税金はないものとします。
① 法人税「900」と地方法人税「0」の合計を記入
②記入した①を転記
③ 都道府県民税「8,300」を記入
④記入した③を転記
⑤市町村民税「20,800」を記入
⑥記入した⑤を転記
⑦税金の合計「30,200」を記入

適用額明細書
適用額明細書を書くことで、税金優遇を受けることができます。
今回は、法人税率が本来は19%のところを、適用額明細書を下記のように記載し、提出することにより15%にすることができます。
①事業年度を記入
②「当初提出分」を〇で囲む
③申請書類の送付元の税務署、法人名、法人番号、資本金(ここでは「500,000」)、所得金額(ここでは「6,094」)を記入
④整理番号は、税務署から送付された書面に記載があります
⑤「1」枚、うち「1」枚目と記入
⑥事業種目、業種番号はこちらを参照
⑦「第42条の3の2第1項 第1号」と太字部分を記入
⑧「380」と記入
⑨適用額を記入(ここでは、法人税15%を適用した金額の6,000)

※ PCや消耗品などは、30万円未満までなら、適用額明細書に記入することによって、経費にできます。その場合は、「 第67条の5第1項 第(ここは空白)号」、区分番号「277」と適用額を記入します。
また、該当する経費がある場合は、別表十六(七)の提出が必要となります。
勘定科目の内訳書
それぞれの勘定科目の内訳書を記入していきます。
ここでは、預貯金当の内訳書だけが該当しますが、こちらに用意された用紙に該当するものは、すべて記入します。
①「銀行名/支店名」を記入
②「普通や当座」を記入
③口座番号を記入
④期末の残高を記入
⑤口座名義が法人名ではなく、代表者の場合は「名義人〇〇〇」と名義人を記入

法人事業概況説明書
最後に、法人事業概況説明書の書き方です。
1ページ目上部は、法人名や事業内容、必要項目を青字のように記入してください。
(※単位は千円単位なので注意)
①~④は、P/L(損益計算書)を見て記入
⑤は、同族会社の場合に記入
⑥⑦も、 P/Lを見て記入
⑧~⑪は、B/S(貸借対照表)を見て記入
⑫青字のように、必要項目を記入
⑬月別の売上や仕入、人件費などをfreeeを見ながら記入
⑭前期から大きな変更があった場合は、記入


その他の確定申告に必要な書類
初年度は、消費税の課税はありませんので、申告は必要ありません。
交際費がある場合は、「別表十五」を提出します。
30万円未満のPCや消耗品の経費がある場合は、「別表十六(七)」を提出します。
法人の確定申告書の提出先

確定申告の申請書類は、郵送で届けることができます。
もちろん、自分で直接持っていくこともできます。
確定申告の書類の提出と払込書での支払いを、支払い期限までに行ってください。
万が一、書類に不備があった場合は、支払いの追加や還付がありますので、期限を守れば、そこまで神経質になる必要はありません。
「法人の確定申告を自分でやる方法について」のまとめ
ここまで、法人の確定申告を自分でやる方法について説明してきました。
ひとり社長などの小規模法人の初年度の確定申告であれば、freeeなどの会計ソフトがあれば、税理士に頼まなくても自分でやることができます。
経理の初心者のボクでも、著書「ひとり社長の経理の基本」と会計ソフト「freee」だけで、法人の確定申告ができたのです。

新版 ひとり社長の経理の基本
自分で確定申告をするだけで、年間20万円以上の経費が削減されます。
また、一度だけでも法人の確定申告をやることは、経営者としての知識をとても深めてくれます。
自分の成長のためにも、1回くらいは確定申告に挑戦してみるといいと思います!

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