飲食店の経営者になりたいけど、
「飲食店経営者の悩みって何?」
「飲食店経営者の年収ってどのくらい?」
なんて思う人もいますよね?
この記事を読めば、飲食店経営者の年収や労働時間などの悩みがわかって、これから飲食店経営者になる方の参考になると思います。
また最低限知っておきたい損益分岐点やFL比率といった、飲食店の経営ノウハウについても紹介しています。
飲食店経営者の悩み
飲食店のもっとも多い最大の悩みは、「集客不足」です。
この悩みにぶつからない経営者はいない、と言ってもいいのではないでしょうか?
飲食店の集客については、別の記事で詳しく書きましたので読んでみてください。
今回は、お店というよりは、もう少し経営者自身の悩みについて紹介していきます。
経営者の悩み① 労働時間
飲食店のイメージといえば、ハードな業務と長時間労働が思い浮かびますよね?
飲食店経営者は1ヵ月に何日くらい休んでいるのでしょうか。

飲食店経営者176名へのアンケート調査
4割以上の経営者が、1ヵ月に4日間も休みがとれないという回答。
これは、1週間に1日休めるかどうかというハードワークです。
現時点で飲食店の経営者である方は、この結果に驚きはないと思います。
しかし、これから飲食店の経営者になろうとしている人が、
「長時間労働が嫌だから独立したい」
「自分のお店だから、労働時間は自由に決められるだろう」
といった労働時間を焦点に当てた理由で独立するのは、絶対にやめておいたほうがいいでしょう。
高い確率で、今よりも労働時間は長くなります。
それでも休みがなくても、見合った年収があれば問題はありませんよね?
つづいて、飲食店経営者の年収はどれくらいなのかみていきましょう。
経営者の悩み② 年収
飲食店経営者の年収ってどのくらいだと思いますか?
もちろんお店の業績によって、稼げる経営者もいれば稼げない経営者もいます。
飲食店経営者の平均的な年収のアンケート結果をみてみましょう。

飲食店経営者176名へのアンケート調査
非回答(23.9%)という結果がありますが、これは非常に高い確立で「299万円以下」の年収だと考えていいでしょう。
なぜなら、「飲食店は赤字の常識に縛られると失敗する」でも書いたように、飲食店の赤字の割合は6割を超えるため、非回答のお店は全店赤字である可能性が高いです。
赤字店であるにも関わらず、自分に高額な給料を出していたら経営は長く続きませんよね?
以上を考えると、飲食店経営者の4割以上の年収は「299万円以下」です。
労働時間と年収をまとめると、飲食店経営者の4割以上が「1週間に1日も休めない長時間労働で、年収は300万円以下」という現状です。
もちろん年収200万円を切る飲食店経営者がいることも容易に想像できます。
経営者の悩み③ 理想とのギャップ
飲食店経営は、「人、モノ、金をつぎ込んだ結果、パンパンに忙しくなってはじめて儲かるビジネスモデル」であることを理解した上で経営者にならないと、理想とのギャップに悩みます。

飲食業界で長く働いていながら、飲食店のビジネスモデルがわかっていない経営者も非常に多いです。
どんなに大手の有名店で修業を積んだとしても、飲食店の経営者になることは簡単ではありません。
雇われている側と経営者では、悩み自体が根本的に違うからです。まったくの別物です。
これから飲食店経営者になりたいという人は、もう一度独立したい理由を考えてみましょう。
独立の理由が、「自由に働きたい」とか「お金を稼ぎたい」だった場合は危険信号です。
飲食店経営は、そういったものからは正反対の性質を持っているといえるからです。
つづいて、経営者にはどんなタイプがあるのかみていきましょう。
飲食店経営者のタイプ
飲食店経営者は、「経営者タイプ」と「職人タイプ」の2種類に大きく分けることができます。
自分はどちらのタイプであるか認識すれば、事前に防げる問題もあるはずです。
料理をしない「経営者タイプ」

ソムリエやサービスマンを経て開業した人、なかには飲食業界未経験で店舗オーナーとなるケースもあるでしょう。
こういった自分で料理をしない「経営者タイプ」は、基本的には料理人を雇う必要があるため、人件費が必ず発生します。
お店が赤字になっても従業員の給料を自分のサイフから出せるような、「すでに大きな財産を持っているか、他にも安定した収入がある人」でない限りは「経営者タイプ」はオススメできません。
お店が赤字になっているときに支払う給料ほど、言葉で言い表せない気持ちになることはありません……。
この部分を融資などで賄おうとすると、心の余裕はなくなり、料理人との関係もうまくいきません。
「経営者タイプ」で開業する人は、飲食店以外のビジネスで収入を確保しているか、もしくは料理人がいなくても営業ができるビジネスモデルを探しましょう。
料理をする「職人タイプ」

もう1つの経営者のタイプは、「職人タイプ」です。
職人気質で、なんといってもコミュニケーションで問題が起きやすいです。
2019年11月24日に放送された「ザ・ノンフィクション」では、出張料理人の新羅彩乃さんが出演していました。
放送の中では、コミュニケーションがうまくいかずに、たった1ヵ月で退職されるアルバイトの方もいました。
どちらが悪いといった話ではありません。
ただ、こういった問題は日常茶飯事です。
しかし、いざとなれば「職人タイプ」の経営者は、1人でも営業できてしまうため、従業員に対して折れずに強気で接することができます。
そのため、最終的に自分の思い通りのお店を経営できるのは、この職人タイプの方が多いのです。
また、人を雇ったとしても、人件費は最低限に抑えられるために、長くお店を継続できるのも職人タイプです。
あなたが「経営者タイプ」と「職人タイプ」のどちらの経営者タイプにしても、売上を管理して利益を出さなければいけません。
そのために、飲食店の経営者ノウハウとして、FL比率と損益分岐点といった数字についてみていきましょう。
飲食店経営者のノウハウ|FL比率
飲食店経営ノウハウの1つとして、「FL比率」というものがあります。
FL比率を使えば、今の売上に対してかけているコストは最適であるか、もっと削れるコストはないかがわかります。
FはFOOD(材料費)、LはLABOR(人件費)です。
飲食店経営の2大コストをしっかりと管理することで、適正な利益を確保しましょうというノウハウです。
FLコストに、もう1つの大きなコストであるRENT(家賃)を加えて、FLRコストともいいます。
【コストの内訳】

【適正なコスト】
FL比率 | 合計60%以内 |
FLR比率 | 合計70%以内 |
売上を入力するだけで、適正なFL比率が算出できるエクセルを添付しますので、使ってみてください。
飲食店経営者のノウハウ|損益分岐点
2つ目の飲食店経営ノウハウとして、「損益分岐点」があります。
飲食店は、材料費をかけて作った商品を売って、家賃や人件費などの費用を回収していくことになります。
損益分岐点とは、赤字と黒字の境界の売上のことで、損益分岐点より売上が上がれば黒字、下がれば赤字となります。
損益分岐点を算出することで、黒字化するための目標売上高を設定することができます。
一般的に損益分岐点の数式はこのようになります。
『固定費÷(1-変動費)』
変動費 | 売上に比例する費用 | 材料費など |
固定費 | 売上に関係なく発生する費用 | 家賃など |
しかし、こんな面倒な計算式は必要ありません。
損益分岐点はざっくりと、スピーディに掴むことが大切です。
ざっくり損益分岐点の計算式は、これだけです。
『固定費÷粗利益率』
「これは変動費?固定費?」と悩んで時間を浪費してしまうなら、固定費に入れてしまうという考え方です。
なぜなら多くのコストは、実際には売上に関わらず発生してしまうことが多いからです。
さらに損益分岐点計算エクセルを使えば、コストを入力するだけで、損益分岐点が簡単に算出されますので、使ってみてください。
飲食店経営者のまとめ
ここまで飲食店経営者のタイプや悩み、ノウハウについてみてきました。
飲食店を経営していくのに、ゴールが見えずに走り続けるのは、辛いしとても危険です。
自分の位置を常に把握して走ることが、長く速く飲食店経営という旅を続けていく秘訣となります。
ゴールを設定するための損益分岐点を算出するには、原価率を管理する必要があります。
「原価計算エクセル」は下記からダウンロードできます。
また、「売上管理エクセル」を使えば、1日1日の損益分岐点がわかり、毎日の営業が終わった時点で、現在の自分の位置が把握できますので、是非使ってみてください!
ダウンロード先はこちらの記事内にあります。